スノーボードの雨対策5選と3つのメリット

アイキャッチ画像 カービング
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「雨が降ってもリフトは動く?」

「雨の日のスノボは楽しめる?」

「雨の日はどんな格好で滑る?」

 スノーボードができると楽しみに待っていた週末が雨だったらがっかりしますよね。

 せっかく行くなら晴れて見晴らしの良いゲレンデを思い切り滑るほうが気持ちいいに決まっています。

 この記事では、スノーボード歴20年以上、現役インストラクターの筆者が次のことを紹介します。

  1. 雨の日にスノーボードをする3つのメリット
  2. 雨の日でも快適にスノーボードを楽しむための5つの対策

 雨の日のスノーボードも悪いことばかりではありません。

 この記事を読めばテンションが下がる雨の日でも、

「雨という理由で滑らないのはもったいない」
「雨だけどスノーボードに行こう!」

と前向きな気持ちになれるでしょう。

1.雨でもリフトは動く?

悪天候時のスキー場ゲレンデの画像

 そもそも、雨の日でもリフトは動くのでしょうか。

 結論から言えば、雨の日でもリフトは動きます。

 リフトが止まるとすれば、原因の多くは雨ではなく風です。

 運航基準はスキー場ごとに異なるようですが、おおむね2人乗りのペアリフトで、

  • 風速15m/秒を超えると注意運転
  • 風速18m/秒を超えると運転停止

とされているようです。

 風速15m/秒は時速に換算すると54km/時です。
 例えるなら走行する車の窓から手を出したときに感じるくらいの風です。

 結構な強風でなければ雨の日でもリフトは動くということが分かりますね。

雪山の天候を表現した画像

 筆者はスノーボード歴20年以上ですが、強風でリフトの運転が止まった経験は2~3回です。

 また、年間滑走日数は約30日ですが、スノーボードに行く日が雨に当たるのは、1シーズンで平均3~5回くらいです。

 ザーッと音が聞こえるほどのいわゆる「どしゃ降り」に当たるのは1シーズンに1回あるかないかという程度です。

 この点は、スキー場のある地域、場所、標高によって違いがあると思います。

2.雨の日にスノーボードをする3つのメリット

 それでは雨の日にスノーボードをするメリットを3つ紹介します。

①ゲレンデが空いている

スキー場の景色

 1つ目は、何といってもゲレンデが空いていることです。

 雨でテンションが下がって多くの人が休憩所に避難し、中には帰る人もいます。
 ゲレンデが空くのは当然ですね。

 ゲレンデが空いていると当然リフト待ちがないので、いつもよりたくさん練習できます。

 人とぶつかる危険も少なくなるので、ゲレンデの幅をいっぱいに使ってロングターンをするなど、普段できない練習ができるのも大きなメリットです。

 例えば、JSBAの技術試験(バッジテスト)の種目の1つにロングターンがありますが、ターンサイズは横30m×縦100mと指定されています。

 横30mと言えばかなり広い幅です。
 混雑したゲレンデでロングターンをすることは難しいです。

②カービングしやすい

スノーボードの滑走ラインの画像

 2つ目は、カービングがしやすいことです。

 もちろん圧雪されたきれいなバーンにはかないませんが、ボードが思ったより走るのでカービングがしやすくなります。

 また、エッジがかんで板がズレにくくなります。

 なぜなら「雨が降る=気温が高い」ということであり、雪が柔らかくザクザクになるからです。

 雪が柔らかいとターンのときにエッジの入りが良くなり、立てた板をキープしやすくなります。

 このときカービングで前足に乗りすぎるとノーズが雪面に刺さって(埋まって)バランスを崩してしまうので注意が必要です。

 とはいえ雪が柔らかくコケても痛くないので、いつもより攻めた滑りができることは大きなメリットの1つです。

③オールラウンドスノーボーダーになれる

雪山でジャンプするスノーボーダー

 3つ目は、どんな雪面状況にも対応できるオールラウンドスノーボーダーになれることです。

 「本当にスノーボードが上手な人」とは、さまざまな天候、雪質、斜度、混雑状況の中で、その状況に応じて滑り方を自由自在に変えられる人ではないでしょうか。

 山の天候は変わりやすく、晴れの日、雪の日、雨の日などありますが、雨の日はこの中のたった1つに過ぎません

 1日の中でも時間帯によって雪面状況は少しずつ変わっていきます。
 冷えた朝のカチカチのアイスバーンが、午後には春のようなシャバ雪に変化するのはよくあることです。

 雨の日のスノーボードが自分の経験値を上げ、知らず知らずのうちにどんな雪面状況にも対応できるオールラウンドスノーボーダーになれるのです。

 これこそが雨の日にスノーボードをする最大のメリットです。

座って待つ6人のスノーボーダーの画像

 もし、バッジテスト(JSBAの技術試験)やインストラクター検定の合格を目指すなど目標がある人は、雨でもスノーボードに行くべきです。

 なぜなら検定会や大会はよほどの悪天候(どしゃ降り、吹雪など)を除いて開催されるからです。

 条件はみんな同じです。
 不合格の理由を天候や雪質のせいにすることはできません。

 雨の日のスノーボードは本番が雨だった場合のリハーサルなのです。

 雨の中でも一生懸命に練習する姿はとても好感が持てますし応援したくなりますね。

3.雨の日のスノーボードを楽しむ5つの対策

雨の中に傘をさして立つ女性の画像

 雨の日でも快適にスノーボードを楽しむための5つの対策は以下のとおりです。

  1. レインウェア
  2. ブーツインナーカバー
  3. 防水グローブ
  4. 防水スマホケース
  5. ゴーグル

 いくらスノーボードが好きでもウェアやブーツの中までビショ濡れの状態では楽しむことはできません。

 雨の日は完全防水の格好で滑るようにしっかり対策を行いましょう。

 完全防水といっても、今回紹介する雨対策はいつものウェアやブーツを使うので見た目は変わりません。

 ウェアの中にカッパを着たり、ブーツのインナーにカバーをかぶせるだけです。

 筆者の経験上、スノーボードが上手な人、長く続けている人ほど雨の日の対策をしっかりしています。

 それでは5つの対策を1つずつ順番に説明していきます。 

①レインウェア

レインウェアを着た集団の画像

 1つ目の雨対策は、レインウェア(カッパ)です。

 使用方法は簡単、いつも使用しているウェアの下に着るだけです。

 筆者はモンベル(mont-bell)の「レインダンサー」というレインウェアを10年以上使っています。

 レインウェアで有名なモンベルですが、このレインダンサーは、ゴアテックス(GORE-TEX)という防水・透湿性に非常に優れた素材を使用しています。

 どんな安物スノボウェアでも、中にこれさえ着ていればインナーが濡れることは一切ありません

 また、レインダンサーは、ゴアテックス製のモンベルのレインウェアの中で最も安く最も丈夫です。

 激しい動きを伴うスノーボードにピッタリです。

 とはいえホームセンターにある上下セットで2,980円みたいに安くはありません。

 でも筆者はスノーボード以外のときでも年中このレインウェアを愛用しているため、既に元を取りました。

 雨の日の自転車通勤、少し寒い日の防寒・防風対策にも使用できるなど非常に汎用性が高いです。

 ゴアテックス製のスノボウェアは高価ですし普段使いできないのでもったいないです。

 安物スノボウェアとレインウェア(レインダンサー)の組み合わせはコスパ最強です。

②ブーツインナーカバー

ブーツインナーソックスをかぶせてブーツに入れている画像

 2つ目の雨対策はブーツインナーカバーです。

 普段使用しているブーツのインナーにかぶせて使うだけですが、これを1枚挟むだけでインナーや靴下が濡れません

 これで足の指先が冷えることなく、水濡れによる不快感も軽減できます。
 さらに滑走後のブーツの乾燥もラクチンという一石三鳥のおすすめグッズです。

 筆者はエビス(eb’s)の「ブーツインナーソックス」という商品を使用しています。

ブーツインナーソックスの紹介画像

 この商品は縫い目にシームテープ加工が施されており、防水性、強度ともに抜群です。

 筆者は濡れたブーツに足を入れることが大嫌いなので、ブーツの中濡れ対策は入念に行います

 節約重視の方は、スーパーのナイロン袋でも代用できます。

 でもナイロン袋がツルツル滑ってブーツの中でインナーが動きやすくなるのでおすすめしません。

 ブーツのレスポンスをあまり重視しないなら費用ゼロでお手軽なので一度お試しください。

③防水グローブ

防水テムレスの商品説明画像

 3つ目の雨対策は防水グローブ、知る人ぞ知るショーワグローブの「テムレス」です。

 高い防水・透湿性を備えており「軽く、やわらかく、ムレにくい」がキャッチフレーズです。

 安価であるにもかかわらず効果は絶大です。

 テムレスのまま滑ってもよいのですが、見た目と防寒対策のため筆者はテムレスの上に普段使っているミトングローブを装着します。

防寒テムレスをグローブに入れた画像

 これにより指先が冷えることなく、水濡れによる不快感は一切ありません
 (テムレスのはみ出した部分はもちろんウェアの内側に入れます。)

 また、テムレスには「防寒テムレス」という裏起毛タイプがあります。

 裏がパイル地で暖かいのですが、汗濡れなどの乾燥が面倒、厚みがあって上からグローブをかぶせにくい等の理由で筆者は使用していません。(値段も少し高い)

 そもそも雨が浸み込まなければ指先は冷えないので通常のテムレスで十分です。

 極寒地でスノーボードをする人や冷え性の人は防寒テムレスを候補に入れるとよいでしょう。

 なお、通常の青色テムレスはホームセンターでいつでも購入できます。

防寒テムレス(青色)の画像

 見た目はイマイチですが、安い(500~700円くらい)のでお試し用に最適です。

④防水スマホケース

濡れたスマホの画像

 4つ目の雨対策は防水スマホケースです。

 みなさんはスノーボードをするとき、スマートフォンをどこにしまっていますか?

 筆者はいつもウェア(ジャケット)の外ポケットに入れています。

 内ポケットでもよいのですが、写真や動画を撮影することも多く、外ポケットが一番取り出しやすくいためです。

ウェアの外側ポケットにスマホを入れている画像

 でもこの状態で雨の中を滑ると、スマートフォンに水滴が付いたり濡れることがあります。

 高価な精密機器なので防水機能があっても水濡れによる故障は心配です。

 なので筆者は雨の日はスマートフォンを100円ショップで買った防水スマホケースに入れています。

 このおかげでスマートフォンが濡れることは一切ありません。

 専用のケースでなくてもZiploc(ジップロック)などで代用できますね。

Ziplocにスマホを入れた画像

⑤ゴーグル

ゴーグルの画像

 5つ目の雨対策はゴーグルです。

 大前提として、雨の中をゴーグルなしで滑ると雨粒が目に入り、視界が悪くて大変危険です。

 ゴーグルは必ず装着しましょう。

 ゴーグルのレンズは、晴れの日用の暗い色(ブラックなど)でなく、雨の日はクリア、オレンジ、ピンク、イエローなどの明るい色がおすすめです。

水分を拭き取って曇り対策

 一番困るのはレンズが曇ったときです。

 雨の日はゴーグルの中に水分が侵入して中に湿気がたまり、うまく換気できず曇りやすくなります。

 ゴーグルクロスなどでこまめに水分を拭き取って曇りを防止しましょう。

ゴーグルの視界が悪い画像

予備のゴーグルがあると便利

 筆者は以前使っていた古いゴーグルを予備としていつも車に積んでいます

 メインのゴーグルのレンズが曇ったりトラブルが起きたときに簡単に交換できます。

ゴーグルを補修する

 もしゴーグルがすぐ曇って困るという人がいたら、ゴーグル上部についているメッシュ(スポンジ)を確認してください。

 剥がれたり破れたりしていませんか?

 特に古いゴーグルはこの部分に空いた穴から雨が侵入して曇りの原因になることが多いです。

 筆者はこの部分に100円ショップで買ったドア用のすきまテープを貼って補修しています。

ゴーグルをすき間テープで補修した画像

 見た目は悪いですが、そもそも雨の日に人のゴーグルを気にする人なんていません。

 このゴーグルは10年以上前の物ですが、補修のおかげで曇ることなくバリバリ活躍してくれます。

4.どしゃ降りのときは滑らない

どしゃ降りの画像

 雨の日のスノーボードはメリットがあり、快適に滑るための対策もありますが、さすがにどしゃ降りのときは滑るのをやめましょう。

 いくらゲレンデが空いているとはいえ視界が悪く危険です。

 約10年前に春スキーをしていたとき、一度だけ強風と雨と雷でリフトが止まったことがありました。
 「自分に雷が落ちるんじゃないか」と恐怖を感じて練習どころではありませんでした。

5.まとめ

雪の中でうずくまっているスノーボーダーの画像

 この記事では、テンションが下がる雨の日にスノーボードをするメリットと、快適に楽しむための対策を紹介しました。

 スノーボードは自然の中で行うことが前提のスポーツです。
 雨の日でもリフトは動きますし、雨対策さえしっかりしておけば十分に楽しむことができます。

 この記事で紹介した雨の日にスノーボードをするメリットは以下の3つです。

  1. ゲレンデが空いている
  2. カービングがしやすい
  3. オールラウンドスノーボーダーになれる

 また、雨の日でも快適にスノーボードを楽しむための対策は以下の5つです。

  1. レインウェア
  2. ブーツインナーカバー
  3. 防水グローブ
  4. 防水スマホケース
  5. ゴーグル

 これらの対策は、いつもと同じウェアやブーツを使うので見た目は変わりません。
 また、ウェアの中にカッパを着たり、ブーツのインナーにカバーをかぶせるなど、手間もかからず簡単です。

雪山で立つ不安そうな後姿の画像

 長くスノーボードを続ければ続けるほど、さまざまな天候、雪質、斜度、混雑状況を経験します。

 でも天気が良いときだけやるのがスノーボードではありません。

 たとえゲレンデコンディションが悪くても、そのコンディションの中でできることをやるだけです。

 筆者自身、雨の日でも快適に滑れるよういろいろ工夫をしてスノーボードを楽しんできました。

 みんなが敬遠しがちな雨の日だからこそ、しっかり対策してスノーボードを楽しみましょう!

 最後までお読みいただきありがとうございました。

 以下の記事では、雨の日にスノーボードに行った体験談を紹介しています。
 雨の日のゲレンデがどんな状況か興味がある人はぜひ併せて読んでみてください。

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コメント

  1. ジャスティス より:

    メインゲレンデは、広島ですが、
    小雨はおおいですが、土砂降りの経験はありません。

    豪雪地帯には分類されますが、年々温暖化が進んでおり。
    広島のゲレンデがパウダーを経験できるのは、滑りいくタイミングもありますが数年に1度程度で、基本はシャーベット状で、
    夕方になればボコボコ、カチカチで初心者には劣悪な環境といって過言ではありません。また、人工雪でこおりであり、エッジがかかりにくかったり。
    そんな中、フラット3やファイブ5の座り込みディフェンスや人工過密状態で滑ることあり。

    新潟の苗場や北海道に行った時に、
    環境がよすきで、現地の人に抜くのめっちゃ上手いですねと言われた事あります。

    いやー広島はこれぐらいじゃないと滑れんですと。

    確かに北海道では、人もいないし、
    めっちゃバウダーでボコボコに詰まったりなどないから、めっちゃくちゃうまくなった気がします。

    悪い環境はあながち悪いことではない、
    たまにエッジ抜けして大ゴケしますが、
    正直いまでは、ゲレンデコンディション的に無理とおもいますが、
    腕カバーしようと必死でした。
    それが上達につながったとおもいます。

    今は、ウェイトハンデが大きくパワーウェイトレシオが下がり気味です!

    • ゆっきー ゆっきー より:

      ジャスティスさん、コメントありがとうございます!

      「悪い環境はあながち悪いことではない」
      「それが上達につながった」

      デメリットさえもメリットに変えてしまう前向きな姿勢、私も見習いたいと思います。

      記事にも書いていますが、天気が良いとき、バーンの状態が良いときだけ滑るのがスノーボードではありません。
      まさに「ゲレンデコンディションが悪くても、そのコンディションの中でできることをやる」を実践してこられたのですね。

      それにしても苗場や北海道など “ウィンタースポーツの本場” で現地の方から「めっちゃ上手いですね」なんて一度でも言われてみたいものです(^^)

      ちなみに私は鳥取の「だいせんホワイトリゾート」などによく行きます。
      これまで、雪質が良くシーズンも長い苗場や北海道がうらやましいと思っていました。
      でも、広島のことを聞いて、今の自分の環境は恵まれているのかな、と思うことができました。

      広島のスキー場には、以前一度だけ行ったことがあります。
      「ドルフィンバレイ」というスキー場で、確かオールナイト営業がありました。
      朝まで滑って最高に楽しかった記憶があります。

      今シーズンももうすぐ始まりますね!
      ケガなく楽しい最高のシーズンになりますように(^^)

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