
スノボの教科書が新しくなった!
変更点だけをサクッと知りたい!
検定や試験にどんな影響がある?
この記事では、スノーボード歴20年以上のインストラクターが、約17年ぶりに改訂された「JSBAスノーボード教程」の変更点をわかりやすく解説します。
今回の改訂は、バッジテストやインストラクター検定(学科・実技)にも影響があります。
改訂版を読む前にこの記事をチェックすれば、スムーズに理解でき、試験対策にも役立ちます。
「忙しくて本をじっくり読む時間がない」という方も、この記事でポイントを押さえるだけで概要を把握できます。
改訂版のポイントを手早く知りたい方や、試験前に効率よく準備したい方の参考になれば幸いです。
1. 改訂の概要と検定への影響

新版は2025年8月に発刊されました。
①改訂のポイント
②検定・講習で注意すべき点
2. 主な変更点(技術編)


①ターンのメカニズム
ターンの仕組みに関する3つの要素が、一部変更されました。
旧版(P10~)
- 角づけ
- 荷重
- ローテーション
新版(P14~)
- 角づけ
- 荷重
- 回旋(ローテーション)
「ローテーション」が「回旋(ローテーション)」へと表記変更されました。
カナに漢字が加わっただけで、技術的な内容に大きな違いはありません。
②ターンコントロールの基本技術
ターンをコントロールするための5つの基本技術が、全面的に改訂されました。
旧版(P18~)
- ターンの形成
- スタンス&ポジション
- リーン・リーンアウト
- ストローク
- 回旋操作
新版(P22~)
- 基本姿勢
- 前後運動
- 左右運動
- 上下運動
- 回旋運動
新版では、従来の説明がスノーボード上でできる運動に置き換えられ、よりシンプルで分かりやすくなりました。
さらに、旧版の後半(P159)にあった「絶対運動を可能にする5つの基本技術」と統一され、技術体系が一本化されました。
また、新しい用語として 「バランスゾーン」 が登場しています。
③導入技術(スケーティング)
スケーティング習得のための3ステップに、用語の変更がありました。
旧版(P46~)
- ノーズアップ
- ウォーキング
- スケーティング
新版(P52~)
- ステッピング
- ウォーキング
- スケーティング
「ノーズアップ」が「ステッピング」に置き換わっただけで、動作そのものは変わっていません。
④基礎技術(谷回り・連続ターンなど)
基礎技術では、いくつかの名称が変更されましたが、動作内容に大きな違いはありません。
谷回り
谷回りを構成する技術の一つが変更されました。
旧版(P80~)
- 谷回し
- ノーズドロップ
新版(P88~)
- ピボット
- ノーズドロップ
「谷回し」が「ピボット」に置き換えられています。
連続ターン
連続ターンの名称も一部変更されています。
旧版(P88~)
- イージーターン
- ノービスターン
新版(P98~)
- ピボットターン
- ノービスターン
「イージーターン」が「ピボットターン」に変更されました。
これは「谷回し」→「ピボット」への用語整理に伴うものです。
ガーランド
練習方法の名称からカッコ書きが削除されました。
旧版(P86~)
- ガーランド(ギルランデ)
新版(P94~)
- ガーランド
「ガーランド(ギルランデ)」が「ガーランド」というシンプルな表記になりました。
⑤発展技術(運動と荷重・抜重)
発展技術では、カービング系ターンの「荷重・抜重」という表現が「運動」に置き換えられました。
新版では「運動」と「荷重・抜重」を分けて考える方針になっています。
ベーシックカーブ(ベーシック運動)
旧版(P106~)
- 沈み込み荷重
- 立ち上がり抜重
新版(P114~)
- 沈み込み運動
- 立ち上がり運動
上下運動(ストローク)は荷重・抜重を直接表すのではなく、荷重・抜重をコントロールするための手段と整理されました。
ダイナミックカーブ(ダイナミック運動)
旧版(P106~)
- 伸ばし荷重
- 抱え込み抜重
新版(P114~)
- 伸ばし運動
- 抱え込み運動
こちらもベーシックカーブと同様に、脚の曲げ伸ばしは荷重・抜重そのものではなく、それをコントロールする運動として位置づけられています。
⑥応用技術(滑走スタイルの分類)
応用技術の「滑走スタイル」は、名称や内容が変更されました。
旧版(P124~)
- スピードスタイル
- グラウンドスタイル
- エアスタイル
- コブスタイル
- パウダースタイル
新版(P126~)
- アルパインスタイル
- フリースタイル
- フィールドスタイル
- パフォーマンススタイル
新版では「スラッシュ」や「ドルフィンターン」が追加され、最新のライディングスタイルが反映されました。
一方、「コンポカーブ」の写真付き解説(旧版:P126~)は削除されましたが、ベーシックカーブショートの説明や巻末の用語集には残されています。
3. 主な変更点(知識編)

①外力の種類(6個→7個)
滑走中にライダーに働く外力(外部から作用する力)が、6個から7個に増えました。
旧版(P8~)
- 重力
- 遠心力
- 雪面抗力(反力)
- 摩擦抵抗
- 空気抵抗
- 地形変化 など
新版(P8~)
- 重力
- 垂直抗力・向心力
- 遠心力
- 摩擦抵抗
- 除雪抵抗
- 空気抵抗
- 地形変化 など
旧版にあった「雪面抗力(反力)」は、上記のリストから消えています。
新版では「垂直抗力・向心力」と「除雪抵抗」がリストに追加されました。
ただし、「雪面抗力=摩擦抵抗や除雪抵抗、垂直抗力などを含む総称」であり、新版でも頻出します。
なお、除雪抵抗の解説(新版:P13)では、「モーメント」という新しい用語が使われています。
②用語解説(101個→146個)
新版では、用語解説(いわゆる用語集)の収録数が旧版より45個増え、合計146個になりました。
旧版(P174~)
新版(P160~)
インストラクター学科検定(筆記試験)では、この用語解説から毎回出題されます。
特に「向心力」「除雪抵抗」「雪面抗力」などの外力の違いは、新版でしっかり確認しておきましょう。
③救急法(止血方法の変更)
出血時の止血方法が一部変更されました。
旧版(P176~)
- 直接圧迫止血
- 間接圧迫止血
新版(P164~)
- 直接圧迫止血法
- 止血帯止血法
「関節圧迫止血」が「止血帯止血法」に変更されています。
④ケガの現状(受傷部位の順位更新)
自分で転倒した際の受傷部位の上位5つが、最新データ(2024-2025)に更新されました。
旧版(P180~)
- 手首
- 肩
- 頭
- 肘
- 足首
新版(P168~)
- 肩・鎖骨
- 手首
- 頭部
- 足首
- 肘
また、内容はほぼ同じですが、その中で多いケガについても更新されています。
旧版(P180~)
新版(P168~)
新版では、新たに「ヘルメット着用率」の項目が追加されました。
スノーボードにおけるヘルメットの着用率は、欧米では約8割に達する一方、日本では約4割と低めです。
⑤雪崩の知識(雪質分類の追加)
雪崩の分類が変更され、新たに雪質別(乾雪・湿雪)が追加されました。
新版では、3つの要素により雪崩を8種類に分類します(2×2×2=8)。
旧版(P184~)
- 表層雪崩
- 点発生表層雪崩
- 面発生表層雪崩
- 全層雪崩
- 氷雪崩
新版(P172~)
- 発生の形態別
- 点発生雪崩
- 面発生雪崩
- 雪質別
- 乾雪雪崩
- 湿雪雪崩
- 滑り面別
- 表層雪崩
- 全層雪崩
⑥メンテナンスの手順(12個→4個)
新版では、ボードのメンテナンス手順が大幅に簡略化されました。
旧版(P186~)
- 作業台の準備
- フラットチェック
- コンベックスとコンケーブ
- クリーニング
- エッジのサビ落とし
- エッジリペア
- ソールリペア
- エッジのダリング
- エッジのビベリング
- ワクシング
- 簡単なワクシング
- ストラクチャーの原理
新版(P174~)
- 作業台の準備
- クリーニング
- ワクシング
- 簡単なワクシング
ソールの形状やリペア、エッジ調整に関する内容は削除され、残るのはクリーニングとワクシングのみです。
これに伴い、チューンナップ用品からもフラッターやストーン、ファイルなど、ソールやエッジ調整用の道具は削除されました。
4. 改訂版から削除された7項目

新版では、以下の内容が削除されました。
- プレスカーブ
ストロークを抑制し、筋力の強弱で荷重・抜重を行うカービング系ターン(旧版:P120~) - スキルチェック&スキルアップ
受講者への聞き込み・目視確認とトレーニングによる技術向上(旧版:P158~) - 競技解説
JSBA公認スノーボード競技種目の紹介(旧版:P168~) - 全日本スノーボードテクニカル選手権大会
種目の変遷や歴代上位入賞者の記録(旧版:P170~) - JSBA公認デモンストレーター名鑑
歴代デモンストレーターの情報(旧版:P172~) - スノーボードスクール一覧
全国の公認・認定スクールのリスト(旧版:P190~) - オフィシャルハンドブック
JSBAの規約や運営方針をまとめた資料(旧版:巻末付録)
削除された内容の多くは、JSBAの公式サイトで最新版を確認できます。
定期的に更新が必要な情報や、掲載の必要性が低いものは削除されたと考えられます。
5. 改訂の要点まとめ

今回の記事で紹介した主な変更点は以下のとおりです。
- ターンのメカニズム
- ローテーション→回旋(ローテーション)
- 基本技術
- 基本姿勢、前後運動、左右運動、上下運動、回旋運動
- 導入技術(スケーティング)
- ノーズアップ→ステッピング
- 基礎技術(谷回り・連続ターン、ガーランド)
- 谷回し→ピボット
- イージーターン→ピボットターン
- ガーランド(ギルランデ)→ガーランド
- 発展技術(ストロークと荷重・抜重)
- 荷重→沈み込み運動、伸ばし運動
- 抜重→立ち上がり運動、抱え込み運動
- 応用技術(滑走スタイル)
- 5分類→4分類
- 外力の種類
- 6個→7個
- 用語解説
- 101個→146個
- 救急法(止血方法)
- 間接圧迫止血→止血帯止血法
- ケガの現状
- 受傷部位などのデータ更新
- 雪崩の分類
- 雪質(乾雪・湿雪)の追加
- メンテナンス手順
- 12個→4個
- 削除項目
- プレスカーブ、スキルチェック&スキルアップ、競技解説、スクール一覧など
その他、インストラクター学科検定でよく出題される項目についても、新しいページの追加や文章表現の修正が行われています。
旧版に慣れている方は、用語の置き換えを意識して試験対策を行ってください。
この記事が「改訂の概要をざっくり知りたい」「試験前にポイントだけ押さえたい」という方の参考になれば幸いです。
以下の記事では、インストラクターの資格を取得するまでの手順について解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。
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