
インストラクターになりたい!
どんな試験や検定があるの?
お金や期間はどれくらい必要?

この記事では、スノーボード歴20年以上の現役インストラクターが、JSBA(日本スノーボード協会)のスノーボード公認インストラクターになるまでに何をすればよいのか分かりやすく説明します。
この記事を読めば、次のことが分かります。
インストラクターの資格取得のために、
「インストラクターになりたいけど、何から始めればいいの?」と悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
1. インストラクターの資格取得に必要な試験・検定について解説

JSBA公認スノーボードインストラクターには、上位のクラスから順にA級、B級、C級があります。
上位のクラスほどインストラクターとしてできることの幅が広がります。
インストラクターを目指す場合は、まずC級インストラクターを取得しましょう。
C級インストラクターを取得しなければ、B級やA級になることはできません。

いきなりA級インストラクターにはなれないの?

なれないよ。C級から順にステップアップしていこう。
次から、インストラクターの資格取得に必要な手順等について具体的に説明します。
2. C級インストラクターになるまで
- STEP1JSBAに会員登録
JSBA公式サイトからいつでも登録OK
- STEP2バッジテスト2級に合格
バッジテスト=JSBAの技術認定テスト
- STEP3バッジテスト1級に合格
- STEP4C級インストラクター認定講習を受講
2日間の日程、全国の各地区で開催
- GOAL!C級インストラクターの資格取得
①JSBAに会員登録
インストラクターを目指すには、JSBA(日本スノーボード協会)への会員登録が必要です。
登録は、JSBA公式サイトからいつでも行えます。
スマホやパソコンでアクセスして、氏名、住所、支払方法などを入力するだけなので簡単です。
会員タイプには「Web会員」と「Web Plus会員」があります。
「Web Plus会員」には一部特典がありますが、費用を抑えたい方には年会費が1,000円安い「Web会員」がおすすめです。
②バッジテスト

バッジテスト(JSBAの技術認定テスト)は、1級から5級まであります。
1級は、2級を取得していなければ受験できません。
2級~5級は、どの級からでも受けることができます。
インストラクターを目指すのであれば、まずはバッジテスト2級を受けるのが最短です。
バッジテストの実技種目は以下のとおりです。
種目 | ターンサイズ (幅×長さ) | |
---|---|---|
1級 | ベーシックカーブ(ロング) ベーシックカーブ(ショート) フリーライディング | 30m×100m 10m×100m 30m×200m |
2級 | ベーシックカーブ(ロング) カービングターン(ショート) フリーライディング | 30m×100m 10m×100m 30m×200m |
※ショートは、1級がベーシック運動、2級が運動指定なしです。
バッジテストでは、受験者がコース上を滑走し、JSBA公認の検定員(C級検定員以上)がその合否を判定します。
1級は、2級に比べてジャッジが厳しくなります。
バッジテストには、次の2種類の方式があります。
どちらかを選べる場合は、「レッスンチェック式」がおすすめです。
「テスト」という緊張感がなく、レッスンの中でアドバイスをもらいながら受験できるためです。

最短でインストラクターを目指すなら、まずはレッスンチェック式の2級だね。

1級の難易度は高く、3回落ちました。
③C級インストラクター認定講習
バッジテスト1級に合格した後、「C級インストラクター認定講習」を受講します。
受講には年齢の条件があります。
申込み時点で満18歳以上でなければ受講できません。

年齢は、認定講習の「受講日」ではなく、あくまで「申込日」が基準です。
講習内容など
認定講習の日程は2日間です。
開催地は年度によって違いますが、全国の各地区で開催されます。
認定講習の内容は、教養講義や指導法(教え方)に関する授業が中心です。
座学だけでなく、模擬レッスンのような実技演習も行われます。
受講後に公認料等を支払えば、C級インストラクターの資格が取得できます。

講習中はミニテストだけ。試験はありませんでした。
講習テキスト
認定講習では、JSBAスノーボード教程(山と渓谷社発行)をテキストとして使用します。
事前に購入し、当日忘れずに持参しましょう。
また、「C級インストラクターテキスト」もJSBAから別途配布されます。

「JSBAスノーボード教程」は今後も長く使うので、早めに買っておきましょう。
スノーボード教程は、2025年8月に改訂版が発刊されました。9月以降の講習会・検定会は新しい内容で実施されます。
改訂内容は別記事でまとめました→ 2025改訂版の変更点まとめ
④期間と費用

期間
C級インストラクターになるまでの期間は、バッジテストや認定講習の日程にもよりますが、最短で2~3か月程度です。
スキー場がオープンしている時期にバッジテスト2級と1級を取得し、春以降に認定講習を受講するという流れが一般的です。
例えば、1月はバッジテストに向けて練習、2月に2級、3月に1級に合格、5月に認定講習を受けてC級インストラクターになるスケジュールです。(約4か月)

認定講習は、毎年、春だけでなく秋ごろにも実施されています。
費用
バッジテスト2級と1級に1シーズン(各1回)で合格し、そのまま認定講習を受けてC級インストラクターになる場合、おおむね70,140円が必要です。
JSBA会員登録 | JSBA入会金 JSBA年会費 | 1,000円 6,000円 |
バッジテスト2級 | 事前講習料 受験料 公認料 | 約5,500円 2,750円 2,750円 |
バッジテスト1級 | 事前講習料 受験料 公認料 | 約5,500円 2,750円 2,750円 |
C級認定講習 | 認定講習料 公認料 オフィシャルキット代 JSBAスノーボード教程 | 20,900円 11,550円 5,500円 3,190円 |
合計 | 70,140円 |
※事前講習料はスクールによって異なります。
レッスンチェック式の場合、事前講習料ではなくレッスン料が必要です。
※オフィシャルキットは、JSBAの規約等をまとめた資料ほか一式です。
※救急法講習を同日受講する場合、参加費・教材費が別途必要です。
※講習会場までの交通費や宿泊料が別途必要です。
※2025年8月現在の内容です。料金は改定される場合があります。
3. B級インストラクターになるまで
- STARTC級インストラクターの資格取得
- STEP1学科検定(筆記試験)に合格
出題範囲は「JSBAスノーボード教程」等
- STEP2実技事前講習を受講
公認スノーボード学校で4単位の講習を受講
- STEP3実技検定に合格
受験までに実技事前講習証明書を提出
- GOAL!B級インストラクターの資格取得
①学科検定
学科検定(筆記試験)は、全国の各地区で開催されます。
試験の出題範囲は、「JSBAスノーボード教程」と「オフィシャルハンドブック」です。
※オフィシャルハンドブック: JSBAの規約や運営方針をまとめた資料。C級インストラクター認定講習で購入するオフィシャルキットに含む。
問題形式は、○×問題、語群からの選択、穴埋め記述などがあります。
全200点満点で、合格のためには140点以上(70%)の得点が必要です。
公式の問題集はありませんが、出題傾向をつかんで時間をかけて準備すれば十分に合格できます。

どうやって勉強したらいいの?

テキストのほか、個人サイトなどで公開されている模擬問題を参考にしよう。
②実技事前講習
学科検定に合格したら、次は「実技事前講習」を受講します。
実技事前講習は、全国の公認スノーボード学校で実施されています。
主に雪上で行う実技講習で、検定種目への理解を深めることが目的です。
4単位(計8時間)の講習を受けると「実技事前講習証明書」が発行されます。
実技事前講習の受講料はやや高額ですが、得られる内容は非常に実践的です。

できるだけ早めに受講して、実技検定までの練習時間をしっかり確保しましょう。
③実技検定

B級インストラクターの実技検定を受けるには、事前に「実技事前講習証明書」を提出する必要があります。
通常は、JSBA公式サイトから受験申込みをする際に、証明書のPDFデータなどを添付します。
実技検定は、1日で終わる場合と、土日など2日間にわたって実施される場合があります。
当日は、受験者が順番に各種目を1回ずつ滑走します。
合否は、JSBA公認の検定員(B級検定員以上)が判定します。
B級インストラクターの実技種目は以下のとおりです。
種目 | ターンサイズ (幅×長さ) |
---|---|
ベーシックカーブ(ロング) フォールスライド(ミドル) ベーシックカーブ(ショート) ダイナミックカーブ(ショート) フリーライディング エア | 30m×100m 20m×100m 10m×100m 10m×100m 30m×200m – |
※ロングは4回転、ミドルは6~8回転の指定です。
実技検定は一発勝負です。
バッジテストのように、レッスンチェック式はありません。
その分、ジャッジは厳しく、難易度も高いです。
私が受験したときの合格率は、約26%(27人中7人合格)でした。

ダイナミックカーブとフォールスライド、苦手なんだよね…。

その2種目で他の受験者と差がつく。ちゃんと理解しておけば有利になるよ。
実技検定は、不合格になっても同一シーズン中であれば何度でも再受験が可能です。
ただし、「学科検定の合格記録」と「実技事前講習の受講記録」は、次のシーズンには持ち越せません。
つまり、そのシーズン中に実技検定に合格できなければ、来シーズンは最初からやり直しになります。
準備不足で後悔することのないよう、できるだけ早めにスケジュールを立て、計画的にチャレンジしましょう。
④期間と費用

期間
B級インストラクターになるまでの期間は、学科検定や実技検定の日程にもよりますが、C級を取得してから最短で8~9か月程度です。
これは、C級インストラクターの認定講習が4~6月ころに実施され、B級インストラクターの実技検定が翌年の1~4月ころに実施されるためです。
【取得までの一般的なステップ】
- 春以降にC級インストラクター認定講習を受ける
- 秋ごろに学科検定を受ける
- シーズンに入ったら実技事前講習と実技検定を受けて合格
日程が合えば、秋(9~11月)に開催されるC級インストラクター認定講習を受け、冬に学科検定と実技検定に合格することで、さらに期間を短縮できます。

私はB級合格までに3年かかりました。
費用
C級インストラクターの人が、1シーズン(1回)でB級に合格する場合、おおむね66,550円が必要です。
B級インストラクター | 学科検定料 実技事前講習料 実技検定料 公認料 | 7,150円 33,000円 12,650円 13,750円 |
合計 | 66,550円 |
※検定会場までの交通費や宿泊料、リフト券代が別途必要です。
※2025年8月現在の内容です。料金は改定される場合があります。
4. A級インストラクターになるまで
- STARTB級インストラクターの資格取得
- STEP1指導実務(レッスン)
公認スノーボード学校で20単位以上の指導を実施
- STEP2学科検定(筆記試験)に合格
出題範囲は「JSBAスノーボード教程」等
申込み時に指導実務証明書を提出 - STEP3実技検定に合格
- GOAL!A級インストラクターの資格取得
①指導実務(レッスン)
A級インストラクターを目指すには、20単位以上の指導実務を行わなければなりません。
1単位は2時間のレッスンに相当します。
つまり、合計で40時間以上のレッスンを担当する必要があります。
2時間のレッスンを20回こなすと、必要な単位数を満たせるという計算です。
単位のカウントは、B級インストラクターの資格を取得した後からスタートします。
それ以前のレッスンは対象外なので注意が必要です。
なお、指導実務の有効期間は5年間です。

1シーズンで20単位じゃないんだね。

そうだよ。自分のペースで少しずつ積み重ねていけばいいよ。
②学科検定
A級インストラクターの学科検定(筆記試験)は、B級と共通の問題が出題されます。
ただし、合格基準はB級より厳しく設定されています。
全200点満点中、160点以上(80%)の得点が必要です。

B級で一度勉強したから、復習みたいなものだね。

油断すると不合格になることもある。しっかり準備して挑もう。
③実技検定

実技検定は、1日で終わる場合と、土日など2日間にわたって実施される場合があります。
当日は、受験者が順番に各種目を1回ずつ滑走します。
合否は、JSBA公認の検定員(A級検定員)が判定します。
A級インストラクターの実技種目は以下のとおりです。
種目 | ターンサイズ (幅×長さ) |
---|---|
ベーシックカーブ(ロング) ムーンスライド(ミドル) ベーシックカーブ(ショート) ダイナミックカーブ(ショート) フリーライディング エア | 30m×100m 20m×100m 10m×100m 10m×100m 30m×200m – |
※ミドルは、A級がムーンスライド、B級がフォールスライドです。
種目の違いとして、B級では「フォールスライド」でしたが、A級では「ムーンスライド」が実施されます。
どちらも実技検定の合否を左右する重要な種目です。
実技検定が一発勝負である点は、B級と同じです。
ただし、A級インストラクターにはB級以上の高い滑走技術が求められます。
そのため、実技検定の難易度は非常に高いです。
私が受験したときの合格率は、約18%(22人中4人合格)でした。

緊張して普段の滑りができるか心配…。

事前に検定会場のスキー場を下見できるといいね。
実技検定は、不合格になっても同一シーズン中であれば何度でも再受験が可能です。
ただし、「学科検定の合格記録」は、次のシーズンには持ち越せません。
つまり、そのシーズン中に実技検定に合格できなければ、来シーズンは学科検定から受け直す必要があります。
なお、指導実務の単位が5年間有効であることは、①で説明したとおりです。
不合格でも取得した単位がリセットされることはありません。
④期間と費用

期間
A級インストラクターになるまでの期間は、学科検定や実技検定の日程にもよりますが、B級を取得してから最短で10~12か月程度です。
これは、B級インストラクターの実技検定が1~4月ころに実施され、A級インストラクターの実技検定が翌年の1~4月ころ(1年後)に実施されるためです。
【取得までの一般的なステップ】
- 冬にB級インストラクターを取得して指導実務(20単位)を行う
- 秋ごろに学科検定を受ける
- シーズンに入ったら実技検定を受けて合格
中には、A級とB級2つのインストラクター資格を1シーズンで一気に取得する人もいますが、これは並大抵のことではありません。

私はA級合格までに6年かかりました。
費用
B級インストラクターの人が、1シーズン(1回)でA級に合格する場合、おおむね41,800円が必要です。
A級インストラクター | 学科検定料 実技検定料 公認料 | 8,250円 17,600円 15,950円 |
合計 | 41,800円 |
※検定会場までの交通費や宿泊料、リフト券代が別途必要です。
※2025年8月現在の内容です。料金は改定される場合があります。
5. 結論: C級なら2~3か月、約7万円で取得可能!
これまでに紹介した各ステップの必要期間と費用を合計すると、以下のとおりです。
資格 | 必要期間 | 必要金額 |
---|---|---|
C級インストラクター | 2~3か月 | 70,140円 |
B級インストラクター | 8~9か月 | 66,550円 |
A級インストラクター | 10~12か月 | 41,800円 |
合計 | 20~24か月 | 178,490円 |
ある程度スノーボード、特にカービングターンの経験者であれば、C級インストラクターまでは2~3か月(約7万円)で取得できます。
しかし、最上位のA級インストラクターまで目指すとなると、最短でも約2年(約18万円)はかかります。

指導実務の単位を取りながら実技検定の練習もして…A級に一発合格なんて無理~。

インストラクターを目指し始めてから、2年でA級に合格できたらかなり早いよ。
6. おわりに

スノーボードインストラクターは、スキー場でレッスンを行いながら、受講者にスノーボードの楽しさや魅力を伝えるのが主な仕事です。
「インストラクターって稼げるの?」「年齢制限は?」と不安に思う人もいるかもしれませんが、実際には10代〜60代まで幅広い世代が活躍しており、資格を取得すれば毎年多くの求人や募集があります。
決して高収入を目指せる職業ではありませんが、スノーボードが大好きで、冬の間だけでも副業として収入にしたい方には、まさにぴったりの資格です。
この記事が、「スノーボードインストラクターになりたいけど、何から始めればいいか分からない」
そんなあなたのスタートの一歩になれば嬉しいです。
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以下の記事では、「JSBAスノーボード教程」の2025改訂版の変更点や魅力について紹介していますので、ぜひご覧ください。
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